スウェーデン南東部にある東西に長い(約120km)大湖。面積1140km2。東端はストックホルムでバルト海に通ずる。北のスベア人,南のヨート人の境界線にあたり,古くから交通,交易がなされた。北東にはウプサラの王族をはじめ豪族の遺跡が分布する。北部はきわめて良質の鉄鉱床地帯である。ゴトランド島と並ぶ外国銀貨の出土地域である。湖中島のヘリエーは考古学調査によれば4~8世紀鉄の手工業と外国交易の中心地であった。交渉先はバルト海沿岸諸地域,ブリテン諸島,地中海東部に及び,6世紀の北インドのブロンズ製仏像さえ出土している。800年ころからヘリエーのもつ機能はビルカに,ついで10世紀後半からは北東岸のシグトゥーナSigtunaに継承される。これらの交易中心地はウプサラ王家の関心と結びついており,また宗教上の中心地でもあったらしい。シグトゥーナは,ウプサラが司教座都市となるまで司教座が置かれ,今日なお石造教会の遺跡(11世紀)を見ることができる。
執筆者:熊野 聰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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