中部スウェーデン,メーラル湖中の島ビョルケーBjörköの北西端に位置するバイキング時代の交易地。《聖アンスガール伝》など文献によれば,9~10世紀に諸国から船が集まった。考古学的研究も8世紀末から970年ころ,この地住民が手工業と交易に関与したことを示す。遺跡は,浜と高さ2m,幅6~13mの石・土製の半円壁に囲まれ,その内側の面積は約12ha。半円壁はヘゼビュー(ハイタブ)のそれと同様10世紀前半の建造。9世紀前半まではフリースラント(とくにドレスタット)の商人がここを訪れ,定住もした。出土品は主としてフリースラント,ラインラントの布,陶器,ガラス製品,フランクの剣など西欧の手工業製品,およびアラブ銀貨がおもなもので,またみずから鉄手工業製品(留金,日用品,装飾品)を製造したとみられる。また,北欧各地にビョルケー系の交易関係地名が多いこと,12世紀以降北欧各地に成立する交易関係法が〈ビョルケーの法〉と呼ばれていることは,ビルカの交易上の重要性を示唆している。
執筆者:熊野 聰
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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