司教座(読み)シキョウザ(その他表記)cathedra[ラテン]

デジタル大辞泉 「司教座」の意味・読み・例文・類語

しきょう‐ざ〔シケウ‐〕【司教座】

ローマカトリック教会で、司教または大司教が執務するための座席カテドラル司教座聖堂)内に設置される。ギリシャ正教およびイギリス国教会では主教座とよぶ。→カテドラル

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改訂新版 世界大百科事典 「司教座」の意味・わかりやすい解説

司教座 (しきょうざ)
cathedra[ラテン]

厳密な意味では司教の座る椅子を指す。この椅子は通常教会堂の東端に位置する後陣の中央,主祭壇のうしろに置かれるが,中世では主祭壇の前の内陣に設けられることも少なくなかった。この場所は司教高座と呼ばれる。これは司教によって祝祭の祭式中および説教に際して使用される。この意味から転じて,司教の権威およびその権威ある教えをも指す。特にこの椅子から行われる説教や宣言は〈エクス・カテドラex chathedra〉(司教座宣言,教皇の場合は聖座宣言)といわれ,公式で正統な教えとされ,それがローマ教皇によってなされた場合には,忌避しえない,不可謬なものとみなされた。この座のある教会が司教座聖堂ecclesia cathedralis,いわゆるカテドラルである。司教座聖堂は1司教区内に一つが普通であるが,バチカンのサン・ピエトロ大聖堂とラテラノのサン・ジョバンニ・イン・ラテラノ教会のように,二つある場合も例外的には存在する。12世紀以降は大学教授の座もカテドラと呼ばれるようになる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「司教座」の意味・わかりやすい解説

司教座
しきょうざ
cathedra

大聖堂内にある司教の椅子 (カテドラ) 。初期キリスト教時代には,祭壇背後のアプス頭部に据えられていたが,カロリング朝時代以後は祭壇前の祭壇福音書側 (入口より向って左側) に据えられるようになった。中世初期においては,たとえば『マクシミアヌスの司教座』として知られる象牙の作品 (6世紀中頃,ラベンナ大司教美術館) のように,しばしば豊富な彫刻装飾が施された。

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世界大百科事典(旧版)内の司教座の言及

【いす(椅子)】より

…ローマ人はギリシアのいすをそのまま継承したが,帝政期になると,豪華な彫刻装飾が加えられ,いすが再び権威を示す傾向を示した。大理石やブロンズで作られた玉座ソリウムsolium,執政官や元老院議員が執務用に使用したX脚・折りたたみ式のセラ・クルリスsella curulis,ギリシアのクリスモスを模した婦人用のカテドラcathedraなどが,ローマ時代の代表的ないすである。中世初期の民族移動と社会変革とによって,古代のいすの伝統は失われ,代わって衣類や貴重品を収納するチェスト(櫃(ひつ))が中世のいすの原型となる。…

【司教】より

…ローマ・カトリック教会をはじめ,東方の諸教会,アングリカン・チャーチ,ルター派教会などのおもな教会は,この制度を支持している。【土屋 吉正】
[活動の歴史]
 司教は,4世紀以後はローマ帝国の行政単位であるキウィタス(都市区)ごとに置かれたが,彼はこの司教座で聖務を執行し,主日の説教をし,復活祭前日には志願者に洗礼を施した。また司祭以下の下僚と小教区(パロキア)の教会を監督し,諸教会を組織し,信者を教化し,異教徒を改宗させる任務を遂行した。…

※「司教座」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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