改訂新版 世界大百科事典 「ラウレンティウス」の意味・わかりやすい解説
ラウレンティウス
Laurentius
生没年:?-258
3世紀のスペインに生まれたキリスト教の聖人。伝説によれば,教皇シクストゥス2世に認められ,ローマで助祭となる。ウァレリアヌス帝の迫害で逮捕されたが,3日の猶予が与えられ,その間に教会の財産を貧者,病人らに分け与えた。再び捕らえられ財産提出を求められると,貧者らの群集を示したため役人の怒りをかい,鉄灸(鉄の焼網)の上であぶり殺された。コンスタンティヌス大帝の時代に,ローマの彼の墓の上にサン・ロレンツォ・フオリ・レ・ムーラ教会が建てられた。美術には通常,助祭服姿で登場し,持物は殉教具の鉄灸。貧者らに財産を分配したことと関連して,貨幣の載った皿などを持つこともある。殉教場面もよく題材となる。祝日は8月10日。
執筆者:井手 木実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報