持物(読み)もちもの

精選版 日本国語大辞典「持物」の解説

もち‐もの【持物】

〘名〙
① 手に持っているもの。携え持っているもの。所持品
※閑居友(1222頃)上「内院よりかへされて、さまざまのもちもの、かへしろなへて、いみじき名香ともかひて、ゆにわかして」
② その人が所有しているもの。所有物
※史記抄(1477)一二「大陰人とはもちものの大なものぞ。我が処を人にぬりつけうとてぞ」
愛人
※落語・燃切り(1891)〈四代目桂文楽〉「芸者抔(など)は旦那が有るとか情夫(まぶ)が有ると云ふと直に人気を堕す家業で、貴郎(あなた)の外妾(モチモノ)と極(きめ)たもんだからパッタリ口が懸らねエから」

じ‐もつ ヂ‥【持物】

〘名〙 仏語。仏像の手にしているもの。薬師の薬壺(くすりつぼ)、観音の水瓶(みずがめ)、不動の利や索のように、その本来のはたらきを示す標識。三摩耶形(さんまやぎょう)。じぶつ。
※東宝記(1352)一「私云、西南西北二菩薩持物、当時无之。中古荒廃之刻、恐令落失歟」

じ‐ぶつ ヂ‥【持物】

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「持物」の解説

持物
じもつ

仏像が手に持っている物。薬師如来の薬壺,観音菩薩の水がめや蓮華文殊菩薩の梵経や剣,不動明王羂索や剣,多聞天の宝塔などが一般的な例。仏像の性格を示す標識と考えられ,仏像の名称の決定に重要な役割をもつ。

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デジタル大辞泉「持物」の解説

じ‐もつ〔ヂ‐〕【持物】

仏像が手に持っている物。その諸尊の性格・働きを示す標幟ひょうじで、観世音菩薩の水、薬師如来の薬壺、不動明王の剣など。じぶつ。

もち‐もの【持(ち)物】

持っているもの。また、身につけているもの。所持品。「持ち物を検査される」
所有しているもの。所有物。「土地も家も彼の持ち物だ」
[類語]所持品・懐中物私物所有物わが物

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の持物の言及

【アレゴリー】より

…その場合,ラテン語の抽象名詞の多くが女性名詞であるため,慣習的に女性の姿で表されることが多い。擬人像はしばしば,概念をより具体的に説明するために,〈属性attribute〉(ないし〈持物〉)と呼ばれる道具を補助手段としてもつ(たとえば,〈運命〉の車輪,〈正義〉の天秤,〈傲慢〉の孔雀など)。属性は慣習的に定められたものもあるが,〈節制〉の場合のように,水とブドウ酒の瓶(激しやすい行動を抑制する)という伝統的な属性に代えて,時計のような時代の推移とともに新しく発明された道具が使われることも注目に値する。…

【アレゴリー】より

…その場合,ラテン語の抽象名詞の多くが女性名詞であるため,慣習的に女性の姿で表されることが多い。擬人像はしばしば,概念をより具体的に説明するために,〈属性attribute〉(ないし〈持物〉)と呼ばれる道具を補助手段としてもつ(たとえば,〈運命〉の車輪,〈正義〉の天秤,〈傲慢〉の孔雀など)。属性は慣習的に定められたものもあるが,〈節制〉の場合のように,水とブドウ酒の瓶(激しやすい行動を抑制する)という伝統的な属性に代えて,時計のような時代の推移とともに新しく発明された道具が使われることも注目に値する。…

【小道具】より

…小道具は,大道具,衣装(舞台衣装),(かつら)などとともに,舞台美術を構成する裏方の一ジャンルで,ドラマの求めに応じて,演出家,舞台美術家の指示と演技者の構想を中心に,演目と登場人物の役柄や性格に相応して調達し,製作することを任務としている。小道具は〈出道具(置道具)〉と〈持物(もちもの)(持道具)〉に大別される。〈出道具〉は,大道具がセットされた舞台やスタジオの空間内に,装置の一部として幕が開く前から置かれる家具,置物,掛軸,几帳(きちよう),屛風,火鉢……などをいい,〈持物〉は,時代物では矢立,莨入(たばこいれ),印籠,扇,中啓や草鞋(わらじ),草履,下駄など,現代劇では指輪,イアリング,ペンダント,時計,財布……などをいう。…

※「持物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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