ラッパ節(読み)らっぱぶし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラッパ節」の意味・わかりやすい解説

ラッパ節
らっぱぶし

明治の流行歌。作詞・作曲者未詳。囃子詞(はやしことば)にちなんで『トコトット節』ともいう。日露戦争が終結した1905年(明治38)から歌い出され、数年にわたって大流行した。「倒れし兵士を抱き起し」や「今鳴る時計は8時半」といった歌詞に、時代相がうかがえる。替え歌は数多く、たとえば「紳士の妾(めかけ)の指先に、ピカピカするのは何じゃいな、ダイヤモンドか違います、可愛(かわい)い労働者の汗の玉、トコトットット」などは、官憲の目を盗んで街頭で歌われた。また足尾銅山の過酷な労働を歌い込むなど、社会の矛盾を指摘する歌詞も現れた。

[倉田喜弘]

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