日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルンドクビスト」の意味・わかりやすい解説
ルンドクビスト
るんどくびすと
Artur Lundkvist
(1906―1991)
スウェーデンの詩人。ハリー・マルティンソンらを含むモダニズム詩人グループ「五人の若者」の一人。初期の詩集『灼熱(しゃくねつ)』(1928)、『裸の生』(1929)、『黒い都会』(1930)などD・H・ローレンス風の生命主義を思わせる人生肯定、都会賛歌の詩風から、シュルレアリスムの影響を受けた『夜の橋』(1936)以降はペシミズム傾向を帯びる。60年代後半には史実に奔放な想像を織り混ぜた歴史小説分野で異文化の出会いを描き、その再評価を試みたが、70年代は『想像の城と日常の石』(1974)、『世界の栄光』(1975)など詩、エッセイ、寓話、自伝と多種のジャンルの混在する、プロットのない独特の作品群を著した。批評家としても視野が広く、『アメリカの新しい作家達』(1940)、『イカロスの飛行』(1939)で現代英仏文学を論じ、またその紹介に尽力した。大の旅行家でアフリカ、インド、旧ソ連、中南米、中国と広く世界を旅し、それぞれの地について旅行記を残し、ほかに自伝『目を見開いたある夢想家の肖像』(1966)などがある。1958年レーニン賞受賞、63年からスウェーデン・アカデミー会員。
[田中三千夫・山下泰文]
『R. V. Díaz:Det okuvliga gräset. En bok om Artur Lundkvist(1983, Bonniers)』▽『Kj. Espmark & A. Olsson'Modernism under nya stjärnor―Lundkvist, Martinson, Ekelöf' i L. Lönnroth & S. Delblanc (red.) : Den svenska litteraturen V(1989, Bonniers)』▽『L. G. Warme (ed.)A History of Swedish Literatur. Chapter 6(1996, the University of Nebraska Press)』▽『Svenskt litteraturlexikon(1970, C W K Gleerup)』