改訂新版 世界大百科事典 「レシルフィード」の意味・わかりやすい解説
レ・シルフィード
Les sylphides
ショパンの音楽にフォーキンが振付した1幕のバレエ。1906年の《ショピニアーナShopiniana(原作名)》を改作,09年ディアギレフのバレエ・リュッスによってパリで初演された。ニジンスキー,アンナ・パブロワ,カルサビナらが出演。背景画を描いた舞台装置家ブノア(A.N.ベヌア)により《レ・シルフィード》と改題された。ロマンティック・バレエの代表作《ラ・シルフィード》に対し,空気の精たちを描くこの作は,主役だけでなく,コール・ド・バレエを効果的に使い作品全体に幻想性をもたらした。森に迷い込んだ詩人と清らかな空気の精たちがさまようロマンティックな詩的表現をとり,とくに筋はない。四つのバリアシヨン,一つのパ・ド・ドゥ,二つのアンサンブルが,プレリュード,ワルツ,マズルカなどを使って構成された。今日も各国のバレエ団でしばしば上演されているフォーキン振付の傑作の一つである。
執筆者:桜井 勤
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報