日本大百科全書(ニッポニカ) 「一本堂薬選」の意味・わかりやすい解説 一本堂薬選いっぽんどうやくせん 薬学書。江戸中期の医家、香川修徳(修庵)の著。上中下3巻からなり、145種の薬物に関する説を収載。1729~34年(享保14~19)刊。修徳は伊藤仁斎に儒学を、後藤艮山(こんざん)に医学を学び、当時、わが国で行われていた李朱(りしゅ)医学に、実証主義の立場からまっこうから反対した。本書もそうした立場から、彼自身が試みた臨床経験に基づいて書かれている。1738年(元文3)には続編を刊行し、このなかで温泉や食養を論じている。一本堂の名は「聖道医術其(そ)の本を一にして二致なし」とする彼の理念からとった修徳の号である。[難波恒雄・御影雅幸] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例