薬物(読み)やくぶつ

知恵蔵「薬物」の解説

薬物

薬物は有効成分(化学物質)そのもののこと。製剤(薬剤)は、薬物に添加物などを配合し、成形などの加工(製剤化)を施したもの。製剤の形を剤形といい、薬物の性質や投与経路などに応じて選択される。代表的な投与経路と剤形に、(1)経口剤(飲み薬)=口から摂取(内服)され主に腸管から吸収、(2)注射剤=血管内、筋肉内などに直接投与、(3)坐剤(坐薬)=肛門から挿入し直腸の粘膜から吸収、(4)貼付剤、塗付剤(貼り薬、軟膏剤)=皮膚に貼る、もしくは塗って吸収、(5)点眼剤(目薬)=目に入れる、などがある。(1)〜(3)は原則として全身に作用を及ぼし、(4)、(5)などは原則として限られた部位に作用する。ただし貼り薬には、全身作用を目的としたものもある。医薬品の中では(1)が最も多く、剤形として錠剤やカプセル錠、散剤(粉薬)、顆粒剤、シロップ剤などがある。胃では溶けず腸内で初めて溶ける腸溶剤も(1)に含まれる。(2)は適量を直接体内に入れるので、即効性があり確実な効果が得られる半面、薬剤アレルギーのショック(ペニシリン・ショックなど)を起こすこともある。(3)も即効性が期待でき、飲み薬と比べて胃腸に負担をかけず、内服が困難な子供や高齢者に適している。薬によっては副作用が起こりやすいこともある。

(澤田康文 東京大学教授 / 2007年)

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精選版 日本国語大辞典「薬物」の解説

やく‐ぶつ【薬物】

〘名〙
① 薬となる物。また、くすり。生体になんらかの変化を引き起こす化学物質。よい変化の場合にも、よくない変化の場合にもいう。薬品。薬剤。やくもつ。
※令義解(718)職員「頭一人。〈掌諸薬物。療。及薬園事〉」 〔春秋左伝‐昭公一九年〕
② 釉(うわぐすり)のこと。
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉三「後つひに薬物を以て土器を焼き、光沢を発し」

くすり‐もの【薬物】

〘名〙
① 薬となるもの。薬種。〔ロドリゲス日本大文典(1604‐08)〕
② 薬となるような貴重なもの。珍奇なもの。
※俳諧・唐人躍(1677)二「郭公一声きくやくすり物〈清高〉」
[補注]②の用例は「ぐずりもの(愚図物)」と解し、無理にねだり望むもののとするもある。

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デジタル大辞泉「薬物」の解説

やく‐ぶつ【薬物】

薬理作用を有する化学物質。くすり。
特に、麻薬覚醒剤のこと。「薬物に手を出す」
[類語]薬品薬剤医薬薬餌

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通「薬物」の解説

【薬物】やくぶつ

薬品。〔北斉書儒林、張景仁伝〕景仁、疾多し。(つね)に徐之範等をはして治療せしめ、物・珍羞(ちんしう)(珍しいご馳走)を給す。中、疾を問ひ、に相ひむ。

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