上ノ国(読み)かみのくに

改訂新版 世界大百科事典 「上ノ国」の意味・わかりやすい解説

上ノ国[町] (かみのくに)

北海道南西部,檜山支庁檜山郡の町。1967年町制。人口5428(2010)。江差町の南に接し,西は日本海に臨む。江差線が通る。中世にはこの町から江差にかけての一帯を上ノ国と称し,松前から箱館を下ノ国と称した。町内の中心部を流れる天ノ川流域では農業が営まれ,沿岸部には漁業集落が点在する。農業は稲作が中心であるが,ジャガイモ,ダイコンの生産量も多い。漁業は零細で,イカ,マス,スケトウダラがおもな漁獲物である。石崎川の上流にある上国(じようこく)鉱山は日本でも数少ないマンガン鉱山として知られる。15世紀に和人が蝦夷地進出の拠点として道南に築いた12の砦を十二館と総称したが,そのうち最北に位置した花沢館,松前氏400年の最初の居城となった勝山館(跡地はいずれも国の史跡),同じく中世の夷王山墳墓群(仏教式の火葬墳墓群),北海道最古で15世紀建立と伝えられる上国寺など,史跡,文化財が多い。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報