日本歴史地名大系 「上野国神名帳」の解説
上野国神名帳
こうずけのくにじんみようちよう
解説 上野国衙が奉幣していた国内の神社を書上げた登録簿で、国内神名帳の一つ。貫前神社(富岡市)の一宮本、総社神社(前橋市)の総社本、「群書類従」所収本などの写本が伝わる。いずれの写本も上野国内の鎮守、各郡ごとの神名の二部より構成されているが、神名表記や神社数、郡の配列など多少の出入りが認められる。総社本は奥書によると、永仁六年一二月二五日に神主赤石氏中清が「正本の如く」筆写した写本を、貞和四年・弘治三年に二度にわたり写し直したものである。総社本にのみ浅間大明神が書上げられた背景には、おそらく写本成立直前に起こった弘安四年の浅間山噴火の影響があったに相違ない。同本を例にとると、郡別記載部には、碓氷一五、片岡一四、甘楽三二、多胡二五、緑埜一七、那波一八、群馬東郡一四五、同西郡一六九、吾妻一三、利根二一、勢多二三、佐位一二、新田一五、山田一二、邑楽一五の計五四六社(神社名を記したもの二四一社)が確定されている。
活字本 「群書類従」神祇部・「群馬県史」資料編六など。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報