…毎朝お茶や線香をあげるとか,不浄のあったときに塩で清めることもある。とくに大晦日の夜は大きな木を1本入れて,一晩中もやし続ける所が多く,これを世継榾(よつぎほだ)と呼んで家の永続と繁栄の象徴としている。また,婦人の出産にあたって体をあぶる習俗が沖縄県の各島に見られる。…
…このため神社では篝火が焚かれ参籠が行われるが,一般家庭でも,かつては年神の前で家族揃って正式の食膳を囲んだあと,いろりに大火を焚いて終夜起きているべきとしていた所が多い。この夜の火に特別な意味を認め,用いる大きなまきを節榾(せちほだ),世継榾(よつきほだ)などといって家の火を継承していこうとしたり,京都八坂神社の白朮祭(おけらまつり)に参る人々のように,この夜新たに清い火を点じようとする考えがあった。年越し【田中 宣一】。…
…かつての日本でいろりやかまどで燃やす薪はその多くを柴山などとよばれる入会(いりあい)山,共有林,屋敷林などから得てきたが,薪不足の家では〈そだ売り〉などの薪の行商から買い求めた。京都大原女(おはらめ)の薪売は頭上運搬でも有名であり,また大分県の吉四六話(きつちよむばなし)のなかには薪売をだます話もある。 薪のなかでも火力の強い松は,刀鍛冶や陶業に必須のため,こうした地帯ではとくにアカマツが伐採され,はげ山が現れることもあった。…
…年越しには火を欠かせないとする考えもあり,境内で火をたいて新年を迎える神社は多い。いろりのあるころには各家庭においても大火を燃やし続ける所が少なくなかったが,このまきを節榾(せちほだ),世継榾(よつぎほだ)という所があるのは,神聖な火が絶えることなく継承されることを願ったからであろう。大晦日だけではなく,1月6日を六日年越し,14日を十四日年越しといい,節分をも年越しというのは,これらの夜から次の七日正月,十五日正月,立春にかけてが,いずれも神の来臨を仰ぐ年改まりのときと観念されていたからと思われる。…
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[火と人類文化]
人間は〈文化をもった動物〉といわれるが,火の使用は人間が文化をもつ動物へと進化を遂げるための不可欠の要素であった。火は家屋の中や周囲で料理,採暖,照明,防虫などに用いられたばかりではない。道具の発達との関連でも,火は実に多くの分野で活用された。木材加工では,生木の伐倒や丸木舟(カヌー)の削出しといった大規模な作業から,小は木材を曲げ,堅くし,鋭い先端部を作り出すといった工作に至るまで,火による加工は刃物による加工と並ぶ基本的な木工技術であった。…
※「世継ぎ榾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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