中国高速鉄道(読み)ちゅうごくこうそくてつどう

百科事典マイペディア 「中国高速鉄道」の意味・わかりやすい解説

中国高速鉄道【ちゅうごくこうそくてつどう】

中国の高速鉄道システムと高速鉄道網をさす。中国の鉄道の高速化は,新幹線のような新しい高速鉄道,在来線の高速化,リニアモーターカーで進められている。高速鉄道計画は1990年代はじめに着手され,2007年4月幹線で高速鉄道車両CRH型(愛称,和諧号)の本格的なサービスが開始された。中国鉄道部は,2010年末の時点で,8358kmの高速鉄道網があるとし,約2100kmは営業速度世界最高速の時速350kmに対応しているとしている。国際鉄道連合は,2011年1月時点で,中国の営業中の高速鉄道は4175kmとしている。いずれにせよ総延長距離で世界の高速鉄道をリードしてきた日本の新幹線は追い抜かれたことになる。中国の高速鉄道は,きわめて短期間に日本,フランスドイツなど複数の鉄道先進国から技術移転し,さらにそこに自国の技術を加えて国産化を図るという方式をとっていて,技術の安全確保が必ずしも優先されていない。また幹線鉄道の建設工事も急速に進められていて安全性に不安を残している。さらに,厖大な運行システムの管理にも大きな問題がある。2011年7月に浙江省温州市で起こった追突脱線事故は世界に問題をさらけ出すかたちとなった。なおリニアモーターカーは,上海浦東国際空港駅と竜陽路駅約30kmが2002年に開通しているが,延伸は進んでいない。

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