日本大百科全書(ニッポニカ) 「国際鉄道連合」の意味・わかりやすい解説
国際鉄道連合
こくさいてつどうれんごう
Union Internationale des Chemins de fer フランス語
International Union of Railways 英語
世界各国の国有鉄道および旧国有鉄道をおもな会員とする鉄道の国際機関。本部はパリ。略称UIC。世界レベルで会員間の協力による相互運用性を高め、持続可能な開発を目ざした輸送の課題を解決し、鉄道輸送を推進することを目的とする。旅客、貨物、高速鉄道、インフラ、環境などの多岐にわたる約200(2014年時点)の鉄道事業会社・鉄道管理会社や団体が加盟する世界最大の業界団体である。世界信号会議(隔年開催)やUIC世界高速鉄道会議(数年ごとの開催)を主催している。また、会員のために策定される鉄道関連技術の独自規格を有し、これをUICリーフレット(UIC規格)とよんでいる。
UICは、1922年に鉄道における国際協力体制を構築することを目的にパリで開催された国際会議において、ヨーロッパ諸国、日本、中国などの29か国51団体が参加して設立された。さらにソ連、中東、北アフリカの諸国が加わった。設立時は技術の標準化や鉄道建設と運用に関する状況の改善が急がれている時期であったが、UICにはこうした要請に応える役割が期待された。ヨーロッパにおける活動が中心であったが、1995年に世界鉄道評議会を組織内に設け、これを機にヨーロッパ以外での活動を本格的に始めることになった。2007年には世界鉄道評議会を解消し、新たにヨーロッパ、アジア、アフリカ、中東、北アメリカ、ラテンアメリカの六つの地域総会を設立。各地域内での独立した活動をグローバルに展開する体制を整えた。日本は創設時から当時の鉄道省が加盟しており、2015年(平成27)時点でJR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州、JR貨物、鉄道総合技術研究所が会員となっている。
[編集部 2016年9月16日]