日本大百科全書(ニッポニカ) 「中央即応連隊」の意味・わかりやすい解説
中央即応連隊
ちゅうおうそくおうれんたい
Central Readiness Force Regiment
国連平和維持活動に対する協力や国際緊急援助活動を任務とする自衛隊の中央即応集団の主幹部隊。略称CRR。2008年(平成20)3月に編成された。所在地は栃木県の宇都宮駐屯地である。国内で大規模災害やテロ・ゲリラといった不測事態が発生すると、方面隊の増援部隊として各方面隊の行動を支援し、また国際平和協力活動として派遣される部隊の先遣部隊として主力部隊到着までの間、活動基盤を準備する緊急展開部隊である。
隊員は約700名で、連隊本部および本部管理中隊と3個普通科連隊で構成されている。装備として、軽装甲機動車、96式装輪装甲車、防弾仕様の高機動車、73式小型・中型・大型トラック、中型ドーザー、トラッククレーンなど約100両の車両を保有している。その他、国連平和協力活動用天幕など海外活動用の各種装備品も保有している。
2009年5月にはソマリア沖海賊対処に派遣された海上自衛隊のP-3C対潜哨戒機(しょうかいき)の部隊警護のため警護要員50名が東アフリカのジブチに派遣された。2010年2月にはハイチ大地震救援のための国際平和協力活動「ハイチ派遣国際救援隊」の先遣隊として200名が派遣された。2011年3月には東日本大震災に際し原子力災害派遣を行っている。2012年2月には「国連南スーダン国際平和協力隊」の第一次隊として約100名が派遣された。
なお、2013年12月に閣議決定された「防衛計画の大綱」によって陸上自衛隊に統一司令部「陸上総隊」が新編されることになり、中央即応集団は組織としての活動を終え、中央即応連隊は「陸上総隊」の隷下に入ることになった。
[村井友秀]