( 1 )「ニ」は赤く美しい色、「ツラ」は頬の意で、「フ」は動詞化する接尾語。赤い頬をしている、が原義。それが紅顔の意や容貌の美しさを意味するようになり、接頭語「さ」の付いた「さにつらふ」は「君」「妹」から広がって「もみじ」「紐(ひも)」「色」などにもかかるようになったとするのが従来の通説。
( 2 )これに対して、枕詞「さにつらふ」のかかる語からすると、紅顔の意とは隔たりが大きいため解釈上無理があるとし、類義の「丹着かふ」との関係が、「へつらふ(諂)」と「へつかふ(辺付)」の関係と類似しているところから、「ツラフ」は「連らふ」で、「ニツラフ」は「丹連らふ」ではないかとする説もある。