久・尚(読み)ひさしい

精選版 日本国語大辞典 「久・尚」の意味・読み・例文・類語

ひさし・い【久・尚】

〘形口〙 ひさし 〘形シク〙 長い時間が経過するさま。
① 時が長くたっている。また、行く末長い。永遠である。
万葉(8C後)五・八一四「天地の共に比佐斯久(ヒサシク)言ひ継げと此の奇魂(くしみたま)敷かしけらしも」
源氏(1001‐14頃)竹河「久しうなりにける昔の例など引きいでて」
物事をするのに多くの時間を費やす。暇がかかっている。
※枕(10C終)一六〇「とみにていり炭おこすも、いとひさし」
③ しばらくぶりである。
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「今日しも、おぼろけにひさしくすます御髪のやうに、すまし乾(ほ)さむ程命短からん人は、え対面たまはらじかし」
④ いつも見たり聞いたり、接したりしているさま。
(イ) なじみ深い。
浄瑠璃曾根崎心中(1703)「亭主は久しい客のこと、よしあしの返答なく」
(ロ) いつもの通りである。あたりまえで陳腐である。ありふれている。
※談義本・根無草(1763‐69)前「色々御異見ありけれども、久しいもんじゃ」
[補注]接尾語「さ」が付く場合、シク活用であれば「ひさしさ」となるが、ク活用の場合は「ひささ」となる。「万葉集」等に「いくひささ(幾久)」の形が見られること、また、「観智院本名義抄」の「奄」に「ヒサク」の読みがあることなどから、古くはク活用であったという可能性もある。
ひさし‐さ
〘名〙

ひさし【久・尚】

〘形シク〙 ⇒ひさしい(久)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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