乗付(読み)のりつける

精選版 日本国語大辞典 「乗付」の意味・読み・例文・類語

のり‐つ・ける【乗付】

[1] 〘自カ下一〙 のりつ・く 〘自カ下二〙
① 馬や乗物に乗ることになれる。乗りなれる。
※虎明本狂言・入間川(室町末‐近世初)「のりつけぬ馬にのせたらは、おつる事があらふ程に」
② 馬などに乗って、前を行くものに付いて行く。
日葡辞書(1603‐04)「ウマヲ noritçuquru(ノリツクル)
③ 馬や乗物で急いで到着する。
※兵法雄鑑(1645)三六「味方の勇士五騎十騎ばかりもよき馬に乗りつけ」
④ 乗物に乗って、目的の場所まで来る。また、乗ったまま、玄関口や戸口まで乗り込む。他動詞的にも用いる。「車を乗りつける」
御伽草子・蛤の草紙(室町末)「此馬に乗り給ふ老人、縁の際迄のりつけておりさせ給ひ」
※人情本・英対暖語(1838)五「此嶋屋の桟橋へ乗付(ノリツケ)一艘の家根ぶね」
[2] 〘他カ下一〙 のりつ・く 〘他カ下二〙 馬などを乗ってなれさせる。乗りならす。
※海人藻芥(1420)「譬ば馬二曲を乗付たらんが如し」

のり‐つけ【乗付】

〘名〙
① 乗物に乗りなれていること。また、いつも特定の乗物に乗っていること。
※それから(1909)〈夏目漱石〉一五「乗り付けの帳場迄来て、奇麗で早さうな奴を択んで飛び乗った」
② 乗物に乗って到着すること。
※歌舞伎・富士額男女繁山(女書生)(1877)序幕「明日を乗付(ノリツケ)にいたしませうと、やうやう是れまで乗り付けました」

のっ‐つ・ける【乗付】

〘自カ下一〙 「のりつける(乗付)」の変化した語。
雑兵物語(1683頃)下「余所の馬は箆撓がたに流渡に漸のっつけた」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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