日本大百科全書(ニッポニカ) 「乙女の祈り」の意味・わかりやすい解説
乙女の祈り
おとめのいのり
Modlitwa dziewicy ポーランド語
La Prière d'une Vierge フランス語
ポーランドの女流ピアニスト、バダルチェフスカTekla Badarczewska-Baranowskaが作曲したピアノ小品。彼女は1834年ワルシャワに生まれ、61年に同地で短い生涯を終えたアマチュア音楽家であり、この1曲だけで音楽の歴史に名をとどめることになった。56年にワルシャワで、3年後にはパリで出版された『乙女の祈り』は、題名が魅力的で、演奏にむずかしい技巧を必要としないために大好評を博し、以来、世界中でもっとも親しまれているピアノ曲となっている。高度な内容ではないが、19世紀のいわゆるサロン音楽の特徴をすべて備えた作品である。
[三宅幸夫]