乾酪性上顎洞炎(読み)かんらくせいじょうがくどうえん(英語表記)Caseous maxillary sinusitis

六訂版 家庭医学大全科 「乾酪性上顎洞炎」の解説

乾酪性上顎洞炎
かんらくせいじょうがくどうえん
Caseous maxillary sinusitis
(鼻の病気)

どんな病気か

 上顎洞内に乾酪性物質(チーズ様)が充満した上顎洞の炎症で、副鼻腔真菌症(ふくびくうしんきんしょう)のなかで、上顎洞に真菌による感染が起きる場合を乾酪性上顎洞炎といいます。副鼻腔真菌症と同様にアスペルギルスなどの真菌が原因です。

症状の現れ方

 副鼻腔真菌症と同様で、左右どちらかの鼻から膿性または粘性の鼻汁(びじゅう)が出てきて、悪臭を伴います。上顎洞に限られた真菌症で、頬部痛(きょうぶつう)、頬部腫脹(しゅちょう)、眼痛、歯痛などを伴うことがあります。

検査と診断

 診断には、副鼻腔真菌症の場合と同様に、単純X線検査とCT検査が有効です。

治療の方法

 まず上顎洞の洗浄を行います。これで治る場合もありますが、効果が不十分な場合には手術を行います。一般に内視鏡下に鼻内から副鼻腔の真菌塊を取り除き、病的粘膜清掃を行うことで治ります。

関連項目

 副鼻腔真菌症

野中 学

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「乾酪性上顎洞炎」の解説

かんらくせいじょうがくどうえんじょうがくどうしんきんしょう【乾酪性上顎洞炎(上顎洞真菌症) Fungal Sinusitis】

[どんな病気か]
 上顎洞(じょうがくどう)内に乾酪性(チーズ様)物質が充満(じゅうまん)する病気で、乾酪性物質中にしばしばアスペルギルスの菌塊(きんかい)がみられるので、真菌性上顎洞炎(しんきんせいじょうがくどうえん)と考えられていますが、真菌の証明できない症例も多く、貯留(ちょりゅう)した膿汁(のうじゅう)が凝縮変化(ぎょうしゅくへんか)したとも考えられています。X線撮影を行なうと、片側の上顎洞に陰影が映り、穿刺洗浄(せんしせんじょう)を行なうと乾酪性物質が確認できます。
[治療]
 上顎洞を穿刺洗浄して真菌塊を排泄(はいせつ)します。これで効果のない場合は、かつては上顎洞の粘膜(ねんまく)をすべて除去する上顎洞根治手術(じょうがくどうこんちしゅじゅつ)が行なわれていましたが、現在では、鼻の孔(あな)のほうから上顎洞を広げ、鼻腔(びくう)と交通させ、真菌塊を除去する治療で、上顎洞の粘膜は正常にもどります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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