二民族論(読み)にみんぞくろん

山川 世界史小辞典 改訂新版 「二民族論」の解説

二民族論(にみんぞくろん)
Two Nation Theory

主に独立前のインドにおいて宗教基礎にしてヒンドゥー民族とムスリム民族に分ける主張をさす。イギリスからインド独立が具体的政治日程となる過程で,インド帝国内の少数派たるムスリムは多数派ヒンドゥーとの関係を改めて問われることとなった。その過程でムスリム連盟指導者ジンナーは,1940年のラホール大会でムスリムとヒンドゥーは別個の民族であるとし,インド西北および東部のムスリム多数地域はまとまって独立国を構成すべきと主張した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の二民族論の言及

【コミュナリズム】より

…これに対してはガンディーの断食によって一定の手直しが加えられたものの,基本的にはこの選挙制度は35年統治法の中に成文化され,これが47年8月のインド・パキスタン分離独立への一つの法的な水路を準備したともいえる。その過程で,ジンナーの指導下でイギリスの分断政策を利用しつつ組織的拡大を遂げ,コミュナリズム思考の一つの帰結ともいうべき〈二民族論〉で理論武装したムスリム連盟(1906創立),一部の国民会議派指導部からの支持を受けつつ,ヒンドゥーの優位性を強調して〈アカンド・ヒンドゥスターン(不可分のインド)〉を掲げるヒンドゥー大連合(1915創設)や民族義勇団Rāṣhtrīy Swayansewak Sangh(RSS,1925創設)の活動が大衆のコミュナリズム感情をかきたてていった。また会議派自体にしても,ネルーはじめその指導部はインド人としての民族意識がインド社会に十分に浸透したと錯覚することで,コミュナリズムの問題に適切かつ果断に対処することができず,そのいっそうの深刻化を助けたとの指摘も無視できない。…

※「二民族論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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