五つ子(読み)いつつご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「五つ子」の意味・わかりやすい解説

五つ子
いつつご

5個の胎児が同時に子宮内にある状態で、五胎ともいう。多胎妊娠に含まれ、母子障害や低体重新生児が多く出産前後の死亡も高いハイリスク妊娠に属する。ヒトの場合はきわめてまれで、白人の場合で約4000万回の妊娠で1例の割合といわれ、五胎とも生存の例はさらにまれとされてきた。近年は無排卵症に対するゴナドトロピン生殖腺(せん)刺激ホルモン)による排卵誘発法によって多胎妊娠が増え、かつ、ハイリスク妊娠に対する管理が著しく進歩したことによって無事出産する例が目だち、話題となっている。1934年カナダのキャランダーで生まれたディオンヌ姉妹は、54年にエミリー心臓発作で死亡するまでそろって生存したことと、一卵性であったことで有名である。1966年以降、排卵誘発法による五つ子の誕生が報告され始め、わが国でも76年(昭和51)1月31日鹿児島市立病院で生まれた五つ子は五卵性であった。さらに80年3月10日にも同病院で2回目の五つ子が生まれ話題になった。

[新井正夫]

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