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排卵誘発法 はいらんゆうはつほうinduction of ovulation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

排卵誘発法
はいらんゆうはつほう
induction of ovulation

排卵障害による不妊に対して排卵を誘発する目的で行なわれる治療。その方法は大きく3つに分けられる。 (1) 比較的軽症の第1度無月経,無排卵周期症,黄体化未破裂卵胞症候群などに対しては,クロミッドを月経周期または黄体ホルモン注射後の消褪 (しょうたい) 出血の第5日目から5~7日間投与する。排卵しても妊娠しない場合は繰り返し行なうが,あまり長期に服用すると子宮内膜が委縮するといわれている。その他セクソビッドや HCGも用いられる。 (2) 比較的重症の第2度無月経に対しては,HMG,HCGなど性腺刺激ホルモンの注射が行なわれる。この方法による排卵率・妊娠率はかなり高いが,多胎妊娠の率も高く,また卵巣腫大 (しゅだい) を伴う過剰刺激症候群を引き起こすことがあるので注意が必要である。 (3) 視床下部の LH放出ホルモン (LH-RH) が律動的に血中に放出されていることが最近明らかになり,LH-RHの投与により,効率的かつ比較的自然に排卵を誘発する方法も試みられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

排卵誘発法
はいらんゆうはつほう

排卵障害が不妊の原因である場合には人工的に排卵をおこすことが行われるが、これを排卵誘発という。排卵障害の程度に応じていろいろな方法が試みられ、その方法は画一的ではない。視床下部性の無排卵のような軽症例には、シクロフェニル、クロミフェンのような経口剤を月経後に数日間服用する方法が行われる。これが有効な場合には反復して使用される。この治療が無効な場合や、下垂体性無排卵のように下垂体前葉からの卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンの分泌が不十分な例では、閉経期婦人尿由来性腺(せん)刺激ホルモンhuman menopausal gonadotropin(HMG)療法が行われる。月経終了後に連日あるいは隔日に注射を行い、排卵がおこるようになるまで続ける必要がある。薬剤の必要量には個人差があり、また作用が強力なので、卵巣が腫大(しゅだい)したり、さらには腹水が貯留したりすること(卵巣過剰刺激症候群)がある。卵巣に対する刺激作用を瞬時に正確に推測する手段がないので、ときには一度に複数の卵胞を発育させ、2個以上の卵を放出(過剰排卵)させるために多胎妊娠の発生頻度が高い。高プロラクチン性無排卵は、下垂体で乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)が過剰に産生、分泌され、血中プロラクチン値が高いことから診断されるが、この際、乳汁分泌を伴う場合が多く無月経・乳漏症候群とよばれる。その発症には、分娩(ぶんべん)、産褥(さんじょく)に継起した場合、下垂体腫瘍(しゅよう)がある場合、原因が不明な場合などがある。これ以外に経口避妊薬服用後の状態、胃潰瘍(かいよう)治療薬や向精神薬などの服用中にも副作用として出現することがあるので、原因をよく調べることがたいせつである。副腎(ふくじん)性無排卵では、副腎皮質からの男性ホルモン分泌が過剰であるためにおこる。治療として糖質コルチコイドを用いて副腎皮質機能を抑制し正常化すると、排卵性周期が回復する。卵巣性の無排卵症では、卵胞を欠如する場合には排卵を期待できないが、多数の小嚢胞(のうほう)が両側の卵巣に形成される多嚢胞性卵巣症候群の場合には、卵巣の腫大と男性ホルモン分泌の軽度増加があるので、卵巣の楔(くさび)状切除手術が有効であるが、一部は再発する。そのほか甲状腺性の無排卵は機能の亢進(こうしん)でも低下でもおこるので、検査が必要である。[新井正夫]

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