朝日日本歴史人物事典 「井上省三」の解説
井上省三
生年:弘化2.10.15(1845.11.14)
明治時代の技術者。官営洋式毛織物工場長。長門国(山口県)厚狭郡宇津井村の庄屋伯野瀬兵衛とさとの次男で富裕であったが,井上半右衛門の養子となり奇兵隊隊長として倒幕に参加,維新後,木戸孝允に随い上京,明治4(1871)年2月よりベルリン留学で兵学から工業への転向を決意,5年から8年まで毛織技術修得,帰国して9年1月内務省勧業寮へ,12年9月千住製絨所初代所長。同所は14年農商務省,21年陸軍に所属するが「陸軍だけでなく日本毛織物工業の亀鑑として輸入を防ぐ」という殖産興業の原点を示す手記を残す。<参考文献>井上省三記念事業委員会編『井上省三伝』,『千住製絨所五十年略史』,小林正彬「千住製絨所の払下げ問題」(『企業者活動の史的研究』)
(小林正彬)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報