交互禁制律(読み)コウゴキンセイリツ

化学辞典 第2版 「交互禁制律」の解説

交互禁制律
コウゴキンセイリツ
rule of alternative inhibition

分子が対称中心(対称心)をもつ場合には,その分子の基準振動は,対称中心による反転操作に関して対称的か反対称的かのいずれかとなり,前者はg(gerade),後者はu(ungerade)の記号で示される.振動スペクトルにおいて,gの型の基準振動はつねに赤外不活性であり,一方,uの型のものはつねにラマン不活性である.このように,赤外吸収とラマン効果のなかの一方で観測されうる振動が,他方では観測不能となる事柄を交互禁制律といい,分子が対称中心をもつか否かを知るための有力な手がかりとなる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報