異なる金属錯体間の電子移動反応を交差反応といい,電荷が異なる同じ錯体間の電子移動反応を自己交換反応(self-exchange reaction)という.どちらも外圏機構で起こる.たとえば,
[Fe(CN)6]4- + [Mo(CN)8]3- →
[Fe(CN)6]3- + [Mo(CN)8]4-
は交差反応で,
[Fe(CN)6]3- + [Fe(CN)6]4- →
[Fe(CN)6]4- + [Fe(CN)6]3-
および,
[Mo(CN)8]3- + [Mo(CN)8]4- →
[Mo(CN)8]4- + [Mo(CN)8]3-
は自己交換反応である.交差反応の電子移動反応速度定数k12 は,系の平衡定数K12,系を構成する錯体のそれぞれの自己交換反応速度定数 k11,k22 と,
k122 = k11 × k22 × k12 × f
の関係がある.ここで,fは1以下の係数である.この関係はMarcus-Hushによって提出されたもので,交差反応に対して直線形自由エネルギー関係(linear free energy relationship)が成り立つ(平衡反応を支配するギブズ自由エネルギーΔGと,速度を支配する活性化ギブズ自由エネルギーΔ Gとの間に関係がある([別用語参照]ギブズエネルギー))ことを示している.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…しかし,これにも例外があり,免疫抗原と類似の構造をもつ抗原(たとえばヒトのヘモグロビンを免疫抗原とすれば,サルのヘモグロビン)では対応しない抗体に対して反応することがある(交叉(こうさ)反応)。この際,構造の類似性が高いほど交叉反応は強く起こるが,免疫に用い,できた抗体と対応した抗原を主抗原,そうでなく交叉反応をする抗原を副抗原と呼ぶ。免疫血清を副抗原で吸収するとその中には主抗原と反応する抗体のみが残り,逆に主抗原では吸収後は全部の抗体が除去される。…
…このような性質を抗原抗体反応の特異性といい,条件をととのえてうまく利用すれば,化学的分析や抽出,精製の難しい試料中の高分子の抗原性を直接検出,同定,定量することができ,細胞,菌,タンパク質等のもつごくわずかな構造の差異も型として区別できる。ただし,試料中に他と共通の抗原があったり,構造の類似性の高い抗原で起こる交叉(こうさ)反応のため,反応成績の判断が難しくなることもある。この場合は,使用抗血清中の不要な抗体を吸収操作であらかじめ除去しておく必要がある。…
※「交差反応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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