人体病理学(読み)じんたいびょうりがく(英語表記)human pathology

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「人体病理学」の意味・わかりやすい解説

人体病理学
じんたいびょうりがく
human pathology

人体に起る病気の原因,成り立ち方,機能の変化を研究し,病気の仕組みを明らかにする学問。動物と違ってヒトには実験ができないので,実際に起る病気そのものが自然の起した実験といえる。また数量的な扱いになじまない分野であって,1症例ごとの綿密な検討が重要である。研究手技にはすべての方法が含まれるが,従来から形態学的方法が最も重要視されている。形態学は考える糸口を提供するものであると同時に,病変の同一性の有無を確認するためには不可欠の手技である。実際には手術標本の検索をする外科病理学死体を解剖して検索をする剖検病理学があるが,もちろんこの両者は不可欠である。個々の症例を検索するにあたっては,臨床経過や生化学的,生理学的検査の入念な検討が必要であることはいうまでもない。

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世界大百科事典(旧版)内の人体病理学の言及

【病理学】より

…現に,アメリカ医師会医師分類では,病院におけるpathologist(病理学者あるいは病理医)を,患者診療に直接たずさわる医師として扱っている。このような診療に関係をもつ病理形態学の領域は,とくに〈人体病理学〉と呼ばれ,その修練には,多大の年月を要する専門分野となっている。これに対して,人工的な条件設定をして,動物に人体にみられるような病変をつくって,その成立ちを調べたり,諸条件下における培養細胞の変化を調べたりする分野を〈実験病理学〉という。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」