有無(読み)うむ(英語表記)bhāva-abhāva

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

有無
うむ
bhāva-abhāva

仏教用語。存在と非存在。仏教では存在するものはすべて一時的な仮のものであり,諸条件によって生滅するものであるから,存在それ自体に不変常住な固定的実体はないと考える。存在に固定的実体を認めるのが「有」の見解である。逆に,すべての存在を否定してしまうのを「無」の見解という。仏教は,すべてが諸条件によって生滅するという事実に立って,「有」と「無」という両極端の見解に陥ることを戒めている。この立場が仏教の「中道」である。

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デジタル大辞泉の解説

う‐む【有無】

あることとないこと。あるなし。「在庫の有無を問い合わせる」
承諾することと断ること。承知と不承知。「事ここに立ち至ればもはや有無はあるまい」
仏語。存在するものと存在しないもの。また、存在することと存在しないこと。

ゆう‐む〔イウ‐〕【有無】

うむ(有無)

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大辞林 第三版の解説

うむ【有無】

あることとないこと。あるなし。 「返事の-にかかわらず出発する」
承知と不承知。諾否。 「申々、-の御返事を仰せられい/狂言・瓜盗人」
生死、勝敗、黒白など対立する二つの概念。
〘仏〙 すべての存在するものとしないもの。 → 有無に

ゆうむ【有無】

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精選版 日本国語大辞典の解説

あり‐なし【有無】

〘名〙
① あるかないか、また、いるかいないかということ。うむ。
※落窪(10C後)二「これにてこそ心ざしありなし見えはじめ給はめ」
② 存在が認められるかどうか、勢威があるかないか、ということ。
※愚管抄(1220)五「わが世にありなしはこの惟方、経宗にあり」
③ ようやくその程度にあること。あることはあるがわずか。
浮世草子・傾城色三味線(1701)京「有物とては居宅諸道具弐十貫目が物はありなし也」
④ (形動) あるかないか、また、いるかいないかわからないさま。また、それほどかすかなこと。
※栄花(1028‐92頃)様様のよろこび「北の方年老い給て、ありなしにて聞えなどすめれど」
※浮世草子・好色五人女(1686)四「月の光もありなしに静かなるをりふし」
⑤ (形動) あるかないかわからないほどに軽く取り扱うこと。あってもかいのないさま。
※三河物語(1626頃)三「保科弾正親子と右之両人おば、有なしにして、其方と我等ばかりなる共、出ば出させ給へと申されければ」
⑥ 「ありなし(有無)の日」の略。《季・夏》
※俳諧・誹諧初学抄(1641)中夏「有無(アリナシ)、月廿五日也。村上天皇御宇に始」
⑦ 百韻形式の連句で、恋、春、秋の句を三句または四句と続けた場合、それ以後は、続けても続けなくてもよいとすること。恋、春、秋の句は三~五句続けるのが百韻形式の定法。〔俳諧・誹諧名目抄(1759)〕

ある‐ない【有無】

〘名〙 (あるかないかで心配する意からか) 米びつの米。飯米(はんまい)
※浄瑠璃・本田善光日本鑑(1740)四「内の有ないの世話を忘れて後生咄しするのがほんの極楽」

ある‐なし【有無】

〘名〙
① あることと、ないこと。あるかないかということ。うむ。
※談義本・銭湯新話(1754)二「地獄や極楽の有なしを沙汰したり」
※腕くらべ(1916‐17)〈永井荷風〉一四「芝居のある無しに係らず直ぐ師匠の家へ行って」
② あるかないかがわからないほどにかすかである様子。あるかなきか。
※三体詩幻雲抄(1527)二「呉王の時はどこもかしこもののめいたりしが今は其旧迹さへあるなしにて」
※面影(1969)〈芝木好子〉一「丁度眉毛が一本一本生えているように、あるなしの細い筋を引きながら」
③ (形動) 「あるなし」に関係のないさま。まったく構わないこと。
※翁問答(1650)上「父母をばあるなしにあいしらひ」
④ (数を表わす語につけて) その数まで達するか達しないかくらいの意を表わす。だいたい…くらい。
※酒中日記(1902)〈国木田独歩〉五月三日「二十人あるなしの子供を対手に、〈略〉アイウエオを教へて居る」
※合巻・正本製(1815‐31)初「一と月ならずは三日でも米びつのあるなしを聞ずにゐたいと思ひますに」

ある‐な・し【有無】

連語〙 (「ある」は「あること」で、「あることがない」の意) ない。あり得ない。あるわけもない。
※浮世草子・浮世栄花一代男(1693)三「是御叶へなくば今も有なしといへば」
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉八「新聞紙を奪ひ読むこと再三、治癒の句を探ると雖ども絶て有るなし」

うに‐むに【有無】

〘副〙 がむしゃらに。なにがなんでも。むやみに。
※こんふえっしょなりうむ(懺悔録)(1632)五番のまんだみえんとに就いて「其の返報として、有(ウ)二無(ム)二、我れを鉄砲でなりともなんでなりとも打殺さうと云はれた」

う‐む【有無】

〘名〙
① あることとないこと。あるかないか。ありなし。
※平家(13C前)一〇「ただし往生の得否は信心の有無によるべし」 〔書経‐益稷〕
② 否と応。承知と不承知。諾否
※虎明本狂言・瓜盗人(室町末‐近世初)「申申、うむの御せ事を仰られい」
③ 生死、黒白、成不成、勝敗など、対立する二つの概念をさす。
※義残後覚(1596)二「河中島にて有無の合戦有けり」
④ 仏語。実在することと実在しないこと。すべての存在するものとしないもの。または存在するものの存在と非存在をいい、後者についてその一方を固執するかたよった考え方をもさす。→有無の二見(にけん)
※法華義疏(7C前)序品「如来既達三世、有無双照」

うや‐なや【有無】

〘形動〙 互いにうまくゆくさま。円満なさま。〔俚言集覧(1797頃)〕
※人情本・春色辰巳園(1833‐35)四「とても死ぬ迄和義和順(ウヤナヤ)にくらすことはならねへから」

ゆう‐む イウ‥【有無】

〘名〙 あることとないこと。ゆうぶ。うむ。
文明開化(1873‐74)〈加藤祐一〉二「親睦するが開化の第一で、すなはち有無(イウム)を通ずる世界の公法じゃ」

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