仮初(読み)かりそめ

精選版 日本国語大辞典 「仮初」の意味・読み・例文・類語

かり‐そめ【仮初】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 永久でないこと。ほんの一時のさま。まにあわせ。その場かぎり。かりさま。
    1. [初出の実例]「かりそめにそむる心しふかければなどか雲井もたづねざるべき」(出典:泉州本伊勢物語(10C前)D)
    2. 「コレのふしばし仮初(カリソメ)も親子と云し此世の別れ。コレ顔見せて」(出典:浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)三)
  3. 実意なくおろそかなこと。なおざりなこと。軽々しいさま。いいかげんなさま。気まぐれ。
    1. [初出の実例]「あさ露のおくての山田かりそめにうき世中をおもひぬるかな〈紀貫之〉」(出典:古今和歌集(905‐914)哀傷・八四二)
    2. (のべ)の鼻紙ひざちかく置てかりそめ遣ひ捨」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)一)
  4. 形だけのこと。些細(ささい)なこと。ちょっとしたさま。ふとしたさま。
    1. [初出の実例]「かりそめの道にても、かかる旅をならひ給はぬ心地に、心ぼそさも、をかしさも、めづらかなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
    2. 「奥羽長途の行脚只かりそめに思ひたちて」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)草加)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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