仮名反(読み)かながえし

精選版 日本国語大辞典 「仮名反」の意味・読み・例文・類語

かな‐がえし‥がへし【仮名反】

  1. 〘 名詞 〙 ( 仮名の反切の意 )
  2. 字音の反切を仮名を用いて表わすもの。平安末期の僧、明覚の考え出した方法。
    1. [初出の実例]「反切を用ひて字音を正さんと欲するに人多くは其法を知らず。〈略〉退いて国字反(カナカヘシ)五十字文に依る者あり。是亦変例一ならず。輙(たやす)く正音を得る事難し」(出典:磨光韻鏡翻切伐柯篇(1773))
  3. 中国の反切法を国語に応用して「き」は「か・い」の反、「く」は「か・う」の反というように、一音の仮名が二音の反切により成り、また逆に、二音が一音に縮約するというように考えること。約言。反音。
    1. [初出の実例]「吉野なる、なにはなると云ふ詞も、吉野にある、難波にあると云ふことなり。万葉集に吉野在(よしのなる)とあり。是もあの反しなり。是等をかな反しと云ふなり」(出典:随筆・夏山雑談(1741)三)
  4. 仮名の順序を逆にすること。
    1. [初出の実例]「袈裟貰ふ礼に酒遣る仮名返し」(出典:俳諧・広原海(1703)六)
  5. 活版印刷で、解版した仮名の活字をもとの場所にもどすこと。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の仮名反の言及

【五十音図】より

…仮名5字ずつ1組を縦に1行とし,横に10組をつらねた,総数50の仮名をふくむ図。古くは,ただ〈五音(ごいん)〉とか,〈五音図〉〈反音図〉〈仮名反(かながえし)〉などとよび,江戸時代になって〈五十音〉の名がおこり,和風に〈いつらのこえ〉といったり,また〈五十聯音図〉などともいった。通常は図のように右から左に進むものとして書かれる。…

※「仮名反」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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