任く(読み)マク

デジタル大辞泉 「任く」の意味・読み・例文・類語

ま・く【任く/罷く】

[動カ下二]支配者が命令して行動させる意》
官職に任じる。また、任命して派遣する。
「まつろはぬ国を治めと皇子みこながら―・け給へば」〈・一九九〉
命じて退去させる。
「時に皇孫、姉は醜しとおぼして、召さずして―・け給ふ」〈神代紀・下〉
[動カ四]に同じ。
「大君のとほのみかどと―・き給ふつかさのまにま」〈・四一一三〉
[補説]四段「まき」は万葉仮名表記「麻気まけ」を誤読したところから生じたとする説がある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「任く」の意味・読み・例文・類語

ま・く【任・罷】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 支配者が下の者に対し命令して行動させる意を表わす。
    1. 官職に任ずる。任命する。また、任命してある地につかわす。
      1. [初出の実例]「亦鍛地(かたしところ)を賜ふ。即ち土部職(はしのつかさ)に任(マケ)たまふ」(出典日本書紀(720)垂仁三二年七月(北野本訓))
    2. 命じて、去らせる。退出させる。
      1. [初出の実例]「皇孫、姉(あね)は醜(みにく)しと謂(おほ)して、御(め)さずして罷(マケ)たまふ」(出典:日本書紀(720)神代下(兼方本訓))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行四段活用 〙 [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「大君の 遠の朝廷と 末支(マキ)たまふ 官(つかさ)のまにま」(出典:万葉集(8C後)一八・四一一三)
  3. [ 3 ] 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 [ 一 ]に対する自動詞で、命ぜられて行動する意か。→まきく

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