最新 地学事典 「佐川造山輪廻」の解説
さかわぞうざんりんね
佐川造山輪廻
Sakawa orogenic cycle
T.Kobayashi(1941)が提唱した日本の中生代中期の一連の造山運動。古生代からの秩父地向斜の内側部分が三畳紀の秋吉造山輪廻によって陸化した後,その外側部分へ順次波及して起こったとする。前期の先佐川造陸(三畳紀後期)および飛驒造陸(ジュラ紀中期)運動によって,東西にのびる古日本脊梁が形成され,ジュラ紀の堆積盆は内外両側に分かれ,またこの時期に地下で三波川変成作用があったと考えた。輪廻の主体である佐川造山運動は,内側での大賀デッケなどの衝上の形成(大賀造山運動)に始まり,領家変成岩の形成・上昇,外側の秩父帯での佐川デッケなどの衝上帯の形成が最盛期(白亜紀中期)で,佐川山地が出現し,堆積盆は和泉・中村などの亜地向斜に分かれ外側へ移動したという。同じ時期の東北日本での変動を大島造山運動という。この造山輪廻説はヨーロッパの地向斜・造山論に基づいたもので,日本で大きな影響を及ぼした。現在では,主体となる衝上運動や高圧変成は沈込みに伴うものが主で,その後上昇・変形を受けたものと理解され,また,サイクル性も否定されている。
執筆者:清水 大吉郎
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

