便奏(読み)べんそう

山川 日本史小辞典 改訂新版 「便奏」の解説

便奏
びんそう

公式令(くしきりょう)に規定された,太政官から天皇へ上奏する文書様式の一つ。日常的な小事について少納言が奏上する。天皇の裁可は少納言によって「奉勅依奏」と記され,天皇の意志が奏と異なる場合は天皇独自の勅処分をうけた。口頭で奏上する場合もこの式に準じて行われ,皇太子監国(げんごく)の際もこの式を準用し,「奏・勅」の字を「啓・令」にかえて用いた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の便奏の言及

【公式様文書】より

…(1)(a)は詔書,勅旨両式と飛駅下式で,詔書は臨時の大事,勅旨は尋常の小事,飛駅下式は地方有事の際に用いる。(b)は太政官から奏上するもので,事の大・中・小によって論奏・奏事・便奏の3式に分かれている。飛駅下式に対するのが飛駅上式で,地方の異変を急奏する。…

※「便奏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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