保証所得(読み)ほしょうしょとく(その他表記)guaranteed minimum income

改訂新版 世界大百科事典 「保証所得」の意味・わかりやすい解説

保証所得 (ほしょうしょとく)
guaranteed minimum income

社会の全世帯に対し,所得水準の高さとは無関係に世帯構成人員だけを考慮した一定額の現金給付をする所得保障政策の一つ。これは現行の公的扶助が,ある最低所得水準以下の世帯のみを対象とし,受給の認定に当たって資力調査をするので申請をする低所得者に屈辱感を与え社会的差別を招くなどの欠陥があるため,その代替案として提案されたものである。これには,イギリスのR.ウィリアム夫人による社会分配制social dividend,一般にデモグラントdemograntと呼ばれている提案,1968年の民主党のアメリカ大統領候補G.S.マクガバンによる普遍的最低保証所得案などがある。〈負の所得税〉もこの一種である。全世帯に給付される保証所得は無税であるが,それ以外の稼得所得は税率100%以下で課税されるため,保証所得を含む課税後の可処分所得は低所得者層においても,稼得所得の高さに比例して大きくなる。保護基準額までは所得の大小にかかわらず可処分所得が同額という現行公的扶助とは異なり,労働意欲によい影響を与える。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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