日本大百科全書(ニッポニカ) 「健康保険保養所」の意味・わかりやすい解説
健康保険保養所
けんこうほけんほようしょ
健康保険の被保険者と扶養家族の健康保持や福祉の増進を図る目的で設けられた保養施設。健康保険組合が直接運営するもの、既存施設と利用契約を結んで便宜を図っているものなど、さまざまな形態がある。
健康保険の制度は被保険者とその家族の病気やけがなどについて保険給付を行うが、これにとどまらず、健康保険法(大正11年法律第70号)には、被保険者や扶養家族の健康保持や福祉の増進を図るため必要な事業を行うことができると定められている。そのため、政府の管掌する健康保険においても、1950年代から1960年代にかけて全国の温泉・観光地に保養所が建設された。空き室があれば一般の人も利用可能であったため広く利用されたが、財政悪化に伴い、政府管掌健康保険保養所は廃止・売却されていった。なお、政府管掌健康保険は、2008年(平成20)、全国健康保険協会(協会けんぽ)に運営を引き継ぎ、全国健康保険協会管掌健康保険となった。
[岡本伸之]