保養施設(読み)ほようしせつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「保養施設」の意味・わかりやすい解説

保養施設
ほようしせつ

日常生活圏を一時的に離れて休養するなど、心身の健康維持を図るための施設。宿泊とレクリエーションの機能をもつ。日本には企業が従業員のために運営する施設に加えて、健康保険組合による加入者のためのものや、自治体が運営するものなどがある。

 保養施設は、高度経済成長期を中心に全国各地に建設され、省庁や政府系特殊法人により設置された保養施設も多数存在した。社会保険庁(2009年廃止)の厚生年金健康福祉センター(サンピア)や国民年金健康保養センター、年金福祉事業団(2001年廃止)の大規模年金保養基地(グリーンピア)、郵政省(現、総務省)の郵便貯金会館(メルパルク)、簡易保険福祉事業団(2003年廃止)簡易保険保養センター(かんぽの宿)などがそれである。しかし、これらの公的な保養施設については、税制上優遇されていたことから民業圧迫との批判があり、1980年代の第二次臨時行政調査会の答申に始まる行政改革により新設が抑制されるようになった。さらに、1998年(平成10)の会計検査院による検査報告では、検査対象の公的宿泊施設370か所のうち180か所が赤字であるとされ、廃止・民営化などの合理化が進められた。その後、郵便貯金会館や簡易保険保養センターなどは郵政民営化の流れのなかで民営化され、厚生年金健康福祉センターなどの年金福祉施設については2010年(平成22)8月売却などの処理が完了した。

[岡本伸之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例