備中国絵図(読み)びつちゆうのくにえず

日本歴史地名大系 「備中国絵図」の解説

備中国絵図(寛永備中国絵図)
びつちゆうのくにえず

一九〇×一九〇センチ

原図 池田家文庫

解説 備前国九郡絵図と同様原色鮮やかな肉筆彩色画で、絵図様式はまったく一致し、同じ目的で同時期に作製されたことを物語る。縮尺道筋約五寸一里(二万五千九〇〇分の一)。成立時期についての有力な根拠は、村形内に記された支配領主名、および図面余白に記載された二四筆の領主別知行目録による領主の在任期間である。これにより寛永一五年四月成羽藩主山崎家治の天草転封後、翌年六月水谷勝隆の入封までの間と推定される。同一五年五月幕府は中国筋一〇ヵ国に対し、先に同一〇年の巡見使を通じ収納した絵図が概略的であるため国絵図の再製作を要請した。同年中に萩藩が防長両国、広島藩が安芸国、福山藩備後国の国絵図を作製したことが知られることから、備前・備中のいわゆる「寛永古図」は、幕府の寛永国絵図編纂事業にかかわる現存例であると結論づけられている。なお城の景観描写は松山城のみ、余白書の備中総高は二三万三千五一三石余。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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