絵図(読み)えず

  • えず〔ヱヅ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

日本で,近世以前に作られた地図類の総称。古図の語もほぼ同じに用いられる。絵図という語は,11世紀ごろから史料に出てくる歴史的用語で,初めは荘園図や寺域図などのように,条里制土地所有関係を示す班田図 (田図) に,山,川,,海,道路など絵画風の表現を交えたものを絵図と称した。中世荘園の位置・景観境界などを描いた荘園絵図などが多く残っている。 16世紀末には,地図一般を指すようになり,徳川家康は 1605 (慶長 10) 年,全国の大名国絵図の作成提出を命じた。また,建築の見取図なども絵図と呼んだ。明治になって学校教育に「地図」の語が導入されて,絵図の語は使われなくなった。現存する絵図はさまざまなジャンルに分けられる。

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世界大百科事典 第2版の解説

19世紀(明治前期)以前の日本での普通の地図に対する呼称。そもそもは条里制施行時代,農地の状態を表した図に〈田図〉〈文図〉があったが,条里名称などを注記した方格のみの〈田図〉を〈白図〉と呼び,方格のほか山川,湖海,道路,家屋など地形・地物を記入した〈田図〉を,〈白図〉と区別して〈絵図〉と呼んだようである。〈文図〉は条里座標に基づく農地の位置および面積などを記載した一覧表を指したものと考えられる。漢字の〈図〉は〈系図〉という語からも連想されるように,主語述語の明瞭でない一覧表的記事をも意味することがあるからである。

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