日本大百科全書(ニッポニカ) 「催芽機」の意味・わかりやすい解説
催芽機
さいがき
作物の種子をあらかじめ芽出し(催芽)してから播(ま)くことがあるが、とくに水稲の催芽のために用いられる機械を催芽機という。水稲の種もみは5~10日浸水してから、風呂(ふろ)の湯に浸(つ)けたり堆肥(たいひ)穴に入れて催芽するのが慣行法であったが、一斉にそろって催芽させることはむずかしかった。田植機用の箱育苗が行われるようになると、一斉にそろって催芽させる必要性がいっそう増した。そこで各種の催芽機が開発された。
もっとも普及しているのは、水槽にサーモスタット付き温水器をつけ、発芽適温の32℃に保温し、モーターにより温水を吸い上げ、シャワー式に落下循環させ、発芽に必要な酸素の供給と二酸化炭素などの抜気を行う方式の機械である。この方式では、種もみは水浸けから催芽まで一貫して行うことができ、大量の種もみを一定の短時間で催芽することができる。また催芽がきわめてよくそろう。催芽機で催芽する過程で同時に種もみ消毒もでき、またムギ類や野菜の催芽、消毒にも使うことができる。
[星川清親]