催芽(読み)サイガ

デジタル大辞泉 「催芽」の意味・読み・例文・類語

さい‐が【催芽】

播種はしゅの前に人為的に発芽させること。鳥による食害を防ぐほか、他の雑草よりもいち早く生育するという利点がある。

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精選版 日本国語大辞典 「催芽」の意味・読み・例文・類語

さい‐が【催芽】

  1. 〘 名詞 〙 植物の種を田畑にまく前に、あらかじめ発芽させておくこと。
    1. [初出の実例]「牧場の一角の五反歩の畑に伏せる馬鈴薯種子の催芽を手伝ふ」(出典:遠方の人(補筆)(1946)〈森山啓〉四)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「催芽」の意味・わかりやすい解説

催芽
さいが

作物種子を播(ま)く前に、あらかじめ人為的に発芽させること。催芽をすると、種子を播いてから発芽までの時間が短縮され、また芽生え(出芽)が均一となる利点がある。さらに、発芽までの間のカビ害虫害鳥の被害を避けられるし、作物の幼植物が雑草より早く生育するので、雑草害も防げる。たとえば水稲栽培では、種もみを数日間水に浸して発芽に必要な水分を吸収させて、次にこれを発芽最適温度の30~32℃で一昼夜置いて、芽が約1ミリメートル出た状態まで催芽させる。播種(はしゅ)にはこの催芽もみを使う。ムギ類など秋播き作物では、低温期に向かうため、発芽を遅らせないことがたいせつで、このため催芽が有効である。また播種期に畑の土が乾燥している場合にも、種子は催芽してから播く。催芽の過程で種子を薬剤や温湯などで消毒し、病原菌を除くことも行われる。ジャガイモサトイモなどのいも類でも種いもを植える前にあらかじめ加温してすこし芽を出させると、植え付けから萌芽(ほうが)までの期間が短縮されるなど、種子を催芽した場合と同じ効果がある。

[星川清親]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「催芽」の意味・わかりやすい解説

催芽
さいが
forced sprouting

新芽ができはじめることや,種子が発芽し,休眠芽発育を開始すること,またそれらを促す処理をいう。促す処理は,特に農業上の必要から研究されていて,低温処理 (ムラサキハシドイの休眠芽) ,温浴処理 (サクラ,レンギョウ) ,機械的破壊 (硬い種子への水の浸透で芽を出しやすくする) などの物理的な方法,ガス (アセチレンエーテル,水素ガス) 処理やオーキシン処理,ジベレリン処理などの化学的な方法がある。その機構については未知の点が多い。

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世界大百科事典(旧版)内の催芽の言及

【種まき】より

…種子の発芽には好適な温度,水分,酸素の条件が必要であり,あらかじめ適当な条件を与えて発芽を済ませた種子をまくことにより,出芽を早め,斉一で確実な出芽を期待することができる。このような方法を芽出しまきといい,発芽させる処理を催芽という。催芽は種子に十分吸水させたのち,20~30℃の加温を行う。…

※「催芽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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