作物の種子を播(ま)く前に、あらかじめ人為的に発芽させること。催芽をすると、種子を播いてから発芽までの時間が短縮され、また芽生え(出芽)が均一となる利点がある。さらに、発芽までの間のカビや害虫、害鳥の被害を避けられるし、作物の幼植物が雑草より早く生育するので、雑草害も防げる。たとえば水稲栽培では、種もみを数日間水に浸して発芽に必要な水分を吸収させて、次にこれを発芽最適温度の30~32℃で一昼夜置いて、芽が約1ミリメートル出た状態まで催芽させる。播種(はしゅ)にはこの催芽もみを使う。ムギ類など秋播き作物では、低温期に向かうため、発芽を遅らせないことがたいせつで、このため催芽が有効である。また播種期に畑の土が乾燥している場合にも、種子は催芽してから播く。催芽の過程で種子を薬剤や温湯などで消毒し、病原菌を除くことも行われる。ジャガイモやサトイモなどのいも類でも種いもを植える前にあらかじめ加温してすこし芽を出させると、植え付けから萌芽(ほうが)までの期間が短縮されるなど、種子を催芽した場合と同じ効果がある。
[星川清親]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…種子の発芽には好適な温度,水分,酸素の条件が必要であり,あらかじめ適当な条件を与えて発芽を済ませた種子をまくことにより,出芽を早め,斉一で確実な出芽を期待することができる。このような方法を芽出しまきといい,発芽させる処理を催芽という。催芽は種子に十分吸水させたのち,20~30℃の加温を行う。…
※「催芽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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