日本大百科全書(ニッポニカ) 「優佳良織」の意味・わかりやすい解説
優佳良織
ゆうからおり
染織作家木内綾(きうちあや)(1924―2006)の創作による織物で、素材は羊毛、一部に亜麻(あま)、絹を使用する。初めは「ユーカラ織」と書いたが、1980年頃、版画家棟方志功(むなかたしこう)の命名をもとに「優佳良織」と改められた。旭川(あさひかわ)市を中心に約600人の会員による、北海道地方の染織工芸として親しまれている。一つの作品に200色から300色の色を使って色感に豊かさをもたせるとともに、綴(つづれ)織、すくい織など高度な技術を求められる、油絵的な織りを完成させている。「流氷」「ハマナス」「摩周湖」など北海道の自然風土をテーマにした作品群があるが、実用を重視し、和洋衣装から装飾、インテリアに至る幅広い用途をもつ。旭川市に「優佳良織工芸館」がある。国際織物ビエンナーレ(1978、ハンガリー)では金賞を受賞した。
[木内和博]
『木内綾著『優佳良織作品集 北海道手織つむぎ』(1980・東京美術)』▽『木内綾著、優佳良織工芸館編・刊『優佳良織・木内綾作品集』(1987)』▽『木内綾著『染め織りの記』(1989・北海道新聞社)』