普及版 字通 「儺(漢字)」の読み・字形・画数・意味
儺
21画
[字訓] おにやらい・おだやか
[説文解字]
[字形] 形声
声符は(難)(なん)。に(だ)(の省声)の声がある。〔説文〕八上に「行くにるなり」(段注本)とするのは、〔詩、衛風、竹竿〕「巧笑の瑳(さ)たる 佩玉の儺たる」の〔伝〕に「儺とは、行くにるなり」とあるのによる。〔段注〕にそれを字の本義とするが、それは阿儺(あだ)・猗儺(いだ)などの形况の連語に用いるときの用義である。〔論語、郷党〕「人儺す」、〔周礼、春官、占夢〕「(だ)(儺)して毆疫(おうえき)す」とは、季節の移るときなどに鬼やらい、あるいは修祓することをいう。儺とはこの儺疫を本義とする字である。墓道で行う道上祭を(しよう)といい、また儺ともいう。
[訓義]
1. おにやらい、除疫。
2. おだやか、たおやか、しずかに歩むさま。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕儺 オニヤラヒ・オニヤラフ・タタヤラフ・ナ 〔立〕儺 ツツキ・オモヤクハス・タミヤラヒ・オニヤラヒ・ナホヤラヒ・オニ
[語系]
儺・naは同声。は〔説文〕九上に「鬼を見てく詞なり」とあり、〔段注〕に「奈何」の合声であるとする。おそらく儺の異文で、鬼を見て驚くよりも、鬼を驚かせるかけ声であろう。
[熟語]
儺禦▶・儺鼓▶・儺神▶・儺声▶・儺儺▶・儺逐▶・儺舞▶・儺祓▶・儺礼▶
[下接語]
猗儺・郷儺・駆儺・行儺・興儺・歳儺・時儺・春儺・贈儺・追儺
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報