入木抄

山川 日本史小辞典 改訂新版 「入木抄」の解説

入木抄
じゅぼくしょう

「筆法口伝」「入木道手習書」とも。書道指導書。尊円(そんえん)入道親王著。1352年(文和元・正平7)に後光厳(ごこうごん)天皇に奏覧。入木とは,日本での書道の異称で,王羲之(おうぎし)が書くと墨が木板に3分しみこんだ故実による。「入木口伝抄」をもとに,書道心得とその稽古方法,手本可否用紙や筆・墨の選定など20項目にわたり詳細に解説,日本書道史の変遷なども簡略にのべる。「群書類従」所収。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の入木抄の言及

【入木道】より

…そして中世以降,とりわけ近世に至り書において〈道〉という観念が生じてからは〈入木道〉と称し,例えば弘法大師を〈本朝入木道の祖〉というように,書道の代名詞として用いられた。中国に比べると日本には書法,書論の著作がごくわずかしかないが,最も内容が充実していると評価されるものに,尊円親王の《入木抄》がある。彼の書風は青蓮院流,御家流として中近世の書の主流をなし,各階級で用いられ,《入木抄》は日本の書にかかわる彼の理想を列記した貴重な著述である。…

【尊円親王】より

…その書風は上代様の美しさに,手本や公文書にふさわしい力強さと豊肥さを加え,わかりやすく丁寧に書くところに特色がある。また後光厳院学書のために《入木抄(じゆぼくしよう)》を著して献呈した。御物《結夏衆名単(けちげしゆうめいたん)》はその代表作。…

※「入木抄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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