入菩提行論(読み)にゅうぼだいぎょうろん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「入菩提行論」の意味・わかりやすい解説

入菩提行論
にゅうぼだいぎょうろん

仏教書。シャーンティデーバŚāntideva(8世紀)の著で、悟りへの道を格調高い韻文で表現している。最初に悟りに向けて発心(ほっしん)することの重要さを述べ、それ以下は、悟りを求める菩薩(ぼさつ)が行うべき実践項目(六波羅蜜(はらみつ))を一つずつ具体的に論じるという構成をとる。著者は中観(ちゅうがん)派に属し記述は論理的であるが、その悟りへの強いあこがれと意志の表現は自己の現実を踏まえつつ説得力をもち、情熱に満ちている。

[江島惠教]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例