全人民国家(読み)ぜんじんみんこっか[ソビエトれんぽう](英語表記)obshchenarodnoe gosudarstvo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「全人民国家」の意味・わかりやすい解説

全人民国家[ソビエト連邦]
ぜんじんみんこっか[ソビエトれんぽう]
obshchenarodnoe gosudarstvo

ソ連の指導者が規定した自国国体。ソ連では自国をプロレタリア独裁国家とする立場がとられていたが,1961年 10月の第 22回共産党大会で採択された党綱領は,プロレタリア独裁がソ連では不必要になり,「国家は全人民国家,すなわち全人民の利益と意思を体現する機関に変った」とした。 62年から憲法改定も検討され,77年改定されたいわゆる「ブレジネフ憲法」でも,ソ連は「労働者,農民インテリ,大小民族」の「社会主義的全人民国家」であると規定した。この考え方は中ソ論争の一つの焦点にもなった。

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世界大百科事典(旧版)内の全人民国家の言及

【社会主義社会】より


[一党制国家]
 〈マルクス=レーニン主義〉から出発した〈現実に存在する社会主義〉社会の普遍的な基本性格は,共産党が独占的に指導する国家,この党と一体化した国家が社会の中心的な主体となっているということである。この国家は〈プロレタリアート独裁〉とか〈全人民国家〉と呼ばれるが,本質的には区別はない。共産党はときには労働党(北朝鮮)とか,社会主義統一党(東ドイツ)とか呼ばれることがある。…

※「全人民国家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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