家庭医学館 「全身の病気と舌炎」の解説
ぜんしんのびょうきとぜつえんせきしょくぜつ【全身の病気と舌炎(赤色舌)】
●鉄欠乏性貧血による舌炎
舌の表面の突起である糸状乳頭(しじょうにゅうとう)と茸状乳頭(じょうじょうにゅうとう)が著しく萎縮(いしゅく)し、舌の表面が平滑になり、赤い平らな舌になります。口角炎(こうかくえん)や口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう)をともなっていることもあります。
鉄欠乏性貧血に嚥下困難(えんげこんなん)(食物を飲み込みにくい)をともなうものをプランマー・ビンソン症候群といいます。
治療には、鉄剤の内服が行なわれます。
●悪性貧血(あくせいひんけつ)(巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ))による舌炎
舌尖部(ぜっせんぶ)(舌先(したさき))の灼熱感(しゃくねつかん)や痛みをともなう舌の赤色病変を、ハンター舌炎(ぜつえん)といいます。糸状乳頭と茸状乳頭が萎縮してしまい、舌の表面が平滑になります。
ハンター舌炎は、ビタミンB12の欠乏による悪性貧血でみられる舌炎で、胃の全摘手術を受けた人などに多くみられます。
ビタミンB12の注射で改善します。