注射(読み)ちゅうしゃ(英語表記)injection

翻訳|injection

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

注射
ちゅうしゃ
injection

注射器によって薬液生体の組織や血管内に注入すること。広義には皮膚乱切による種痘も注射法の一部とみられる。普通は (1) ツベルクリン検査などに行われる皮内注射,(2) 比較的刺激の少い,あるいは直接血管に入ると有害と考えられるビタミン類ワクチンなどの皮下注射,(3) おもに吸収の遅延を期待する筋肉注射,(4) 刺激を軽減したり,速効性を得るためのカルシウム剤,サルチル酸剤などの静脈内注射,(5) 例外的には,動脈内注射,脊髄腔内注射などもある。

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デジタル大辞泉の解説

ちゅう‐しゃ【注射】

[名](スル)
注射器を使って薬液などを体内に注入すること。注入する部位によって皮下注射・筋肉注射・静脈注射などという。「抗生物質を注射する」「静脈注射
水をそそぎかけること。転じて、じっと目をそそぐこと。
「坐上の眼(まなこ)は盡(ことごと)く川岸の身上に―せり」〈鉄腸・花間鶯〉

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百科事典マイペディアの解説

注射【ちゅうしゃ】

薬剤の適用法の一つ。注射器を用いて薬液を身体の組織に注入すること。内服に比べて薬効が早く現れて,作用もより的確。注入部位により,次のような種類がある。1.皮下注射。皮下組織に注入する方法で,最も一般的。2.筋肉内注射。筋肉層に注入する方法。薬物は血管壁から血中に入る。乳液状の注射剤でも可能で,徐々に吸収されるため薬効は持続的。3.静脈内注射。注射針を直接静脈内に刺して注入する方法で,効果は非常に早い。また輸血輸液にも常用。4.その他,皮内注射(ツベルクリン反応等),動脈内注射,急性心停止の際の心臓内注射などがある。
→関連項目注射器

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世界大百科事典 第2版の解説

ちゅうしゃ【注射 injection】

溶液にした薬剤を注射器によって,直接体内に注入すること。輸液などに際して行われる点滴も広義には注射に含まれる。薬剤の投与方法にはほかに内服,外用などがあるが,注射はこれらの方法に比べ,効果が早く現れること,確実に吸収されること,高濃度の利用が可能なこと,内服不能な患者にも薬剤を投与できること,などの利点がある。これらの利点のために,かつては多用された。しかし一方,注射には痛みを伴うことのほか,注射の場所や注入する薬剤によっては大腿四頭筋拘縮症などの後遺症をもたらし,速効性のために使用を誤ると取返しがつかないなどの欠点もある。

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大辞林 第三版の解説

ちゅうしゃ【注射】

( 名 ) スル
注射器で薬液を体内に注入すること。 「 -液」
注意や視線を一心に向けること。 「数百人の眼睛まなこは、皆少年の面上に-す/雪中梅 鉄腸

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

注射
ちゅうしゃ
injection

薬物投与法の一つで、注射器syringeを用いて薬液を体内に直接注入する方法をいう。経口投与に比べると薬剤の吸収が速くて確実であり、効果が迅速であるという利点もあるが、注射部位や薬剤によっては大腿(だいたい)四頭筋短縮症やショックなどをおこすため、原則としては経口投与が行われ、注射は次のような場合に限って用いられる。すなわち、〔1〕意識がなかったり、悪心(おしん)や嘔吐(おうと)が強くて経口投与ができない場合(ただし、経管法で胃内に注入したり、注腸や坐薬(ざやく)を用いることもある)、〔2〕重症感染症に対する化学療法をはじめ、輸血や輸液など、緊急に大量の薬剤を投与する必要がある場合、〔3〕重篤な症状で、薬剤の確実な吸収を期待する場合、〔4〕ストレプトマイシンなど注射剤しか剤形のない薬剤を使用する場合、〔5〕経口投与では消化器粘膜を刺激したり、吸収されにくい場合、などである。[柳下徳雄]

種類

注射部位により、静脈注射、動脈注射、筋肉注射、皮下注射、皮内注射などに分ける。
(1)静脈注射 静脈内に注射針を刺入して薬剤を直接血管内に注入する方法で、薬剤は1~2分のうちに心臓を経て必要な組織に達する。これには比較的少量(10~50ミリリットル)の薬剤を注入する通常の静脈注射と、大量(500~1000ミリリットル)の薬剤を注入する点滴静注法(点滴注射)がある。点滴注射は輸液や輸血の注入手段として用いられる。
 通常の静脈注射は、薬物の迅速な効果を必要とする場合、または静脈注射以外には使用できない薬剤を用いるときに行われ、注射部位としては一般に肘(ちゅう)静脈が多用されるが、前腕や下肢の静脈に行うこともある。
(2)動脈注射 患部局所に流入する動脈内に大量の薬剤を注入する方法である。静脈注射では薬剤を全身に行き渡らせることはできても、局所に高濃度に作用させるわけにはいかないために行われるが、実際にはある臓器を目標に制癌(せいがん)剤を投与するといった特殊な場合に限られる。
(3)筋肉注射 少量(1~10ミリリットル)の薬剤を筋肉内に注入する方法で、刺激や疼痛(とうつう)の強いものや油性の薬剤など、あるいは吸収の悪いものに適用されるほか、静脈注射をするほど迅速な効果を期待しない場合などにも使われる。注射部位としては、筋層が厚くて大きな血管や神経の分布が少ない場所、たとえば臀(でん)部の外臀筋で坐骨神経を避けた部位、上腕部の三角筋や三頭筋、ときには大腿四頭筋に行うこともある。
 しかし、小児では筋の発達が十分でなく、筋の拘縮や萎縮(いしゅく)をおこしやすいため、同一部位での多用は避けるべきである。
(4)皮下注射 皮下組織内に少量の薬剤(0.1~5ミリリットル)を注入する方法で、筋肉注射に比べ吸収は遅いが、より安全とされる。しかし、局所の刺激が強い薬剤の場合は、筋肉注射のほうが疼痛は少ない。内服では変化してしまうインスリンのほか、ある種の止血剤やビタミン剤、さらには内服よりも吸収が速いため鎮痛薬や強心薬なども緊急時にはこの方法で行われる。注射部位としては皮下組織が発達し、神経や血管の分布が少ない上腕外側部が多用されるが、大腿の前面や外側に行うこともある。
(5)皮内注射 ごく少量(0.05~0.1ミリリットル)の薬剤をゆっくり吸収させたい場合に表皮と真皮の間に注射する方法で、注射液による反応が目で確かめられることが利点である。このため、ツベルクリン反応、アレルギーの抗原の診断反応、各種ワクチンの予防接種などに用いられる。注射部位としては前腕内側の皮膚がもっとも多く、上腕の外側にも行われる。注射後は、こすったりもんだりしてはいけない。[柳下徳雄]

注射器

容器と注射針からなり、容器は薬液を入れる注射筒と薬液を押し込むピストンに分けられる。容量によって各種の注射筒があり、太くて大きいものから微量用の細いものまである。注射針にも長短があり、中空で細い針金(マンドリン)が入れてある。注射時には引き抜いて使用する。また、先が斜めにカットされており、皮下注射用は鋭くとがっているが、静脈注射用はそれより鈍である。
 なお、材質は従来、容器が硬質ガラスで注射針はクロム鋼製であり、使用後は煮沸滅菌、乾燥のうえ繰り返し使用され、針先が鈍磨すれば研磨したが、近年、血清肝炎が注射を通じて感染することが知られてからは、もっぱらプラスチック製の使い捨て(ディスポーザブル)のものが用いられるようになった。また、注射針を使わず圧縮空気の圧力で直接組織内に薬液を注入する高圧注射器が皮下注射用として集団予防接種に活用されている。[柳下徳雄]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ちゅう‐しゃ【注射】

〘名〙
① 液体や光線、電波などをそそぎかけること。転じて、ある物事に向かって、視線や注意などを絶えず集中させること。
※江戸繁昌記(1832‐36)四「其の墨水に枕(のぞ)む、水碧紅欄、注射発揮す。真個に龍宮湧き、蓬島浮ぶ」
※経国美談(1883‐84)〈矢野龍渓〉前「満場会民の視線は敵味方となく皆な威波能の一身体に向って注射し」 〔旧唐書‐李泌伝〕
② 液状の薬剤を注射器で直接体内に注入すること。注入する場所により皮内注射、皮下注射、静脈注射、筋肉注射などと呼ぶ。内服の場合より効力が早く現われる。
舎密開宗(1837‐47)内「諸蔵脉絡に注射し而後蔵腑を腐爛すれば此金質残留て」

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