細胞の大きさが減少すること,あるいは,ある組織の構成細胞の数,あるいは細胞個々の大きさの減少によって,その組織の大きさが減少すること,さらに,器官の主体をなす組織の大きさが減少することによって,器官の大きさが減少すること。対応するものによって,それぞれ細胞の萎縮,組織の萎縮,器官の萎縮という。構成細胞の数がへっても,間隙を埋めるように脂肪細胞が増殖することによって,器官の大きさは必ずしも小さくならないこともある。また萎縮した細胞の中に褐色顆粒が沈着しているものを褐色萎縮というが,これは,細胞内小器官などの過酸化脂質が老廃産物としてたまった状態である。萎縮は,加齢(老化)とともに認められる生理的萎縮(たとえば,思春期以降におこる胸腺の萎縮,更年期以降におこる生殖器の萎縮など),病因が加わるためにおこる病的萎縮(たとえば,慢性腎炎による腎萎縮,劇症肝炎による肝萎縮など)に区別される。病的萎縮をおこす原因には,栄養供給の障害(栄養動脈の狭窄,閉塞),飢餓,機能の障害(寝たきりの病人の骨格筋や骨にみられる無為萎縮),神経支配の障害(運動神経麻痺による支配下骨格筋の萎縮),内分泌障害(脳下垂体ホルモンの分泌低下による甲状腺や副腎の萎縮)などがある。萎縮は原則として,原因を除去すれば元に復する。
執筆者:山口 和克
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
臓器、組織、細胞の容積が縮小している状態をいう。細胞の大きさが減少する場合と細胞の数が減少する場合とがあり、また萎縮した組織や臓器に性状の異常(変性)を伴うこともある。成因により、年齢とともに心臓、脳、肝臓、腎臓(じんぞう)などに出現する生理的萎縮や老人性萎縮、長期にわたって持続的に機能が制限された臓器・組織におこる無為萎縮のほかに、悪液質に際してみられるような栄養障害性萎縮、持続的に圧迫が加わって生ずる圧迫萎縮、レントゲン、ラジウムなどの放射線の照射によって造血臓器・性腺(せいせん)におこる萎縮、支配する神経の切断・疾患によっておこる筋肉の萎縮などがある。また、内分泌機能の異常によっても関連する臓器の萎縮がみられる。
[渡辺 裕]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…(9)瘢痕scar 潰瘍が肉芽形成により治癒し,表面が薄い表皮でおおわれた,つるつるした光滑のある傷あと。(10)萎縮atrophy 皮膚全体が薄くなり,しわのよった状態。高齢者の皮膚にみられる。…
※「萎縮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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