萎縮(読み)いしゅく

日本大百科全書(ニッポニカ)「萎縮」の解説

萎縮
いしゅく

臓器組織細胞容積が縮小している状態をいう。細胞の大きさが減少する場合と細胞の数が減少する場合とがあり、また萎縮した組織や臓器に性状の異常(変性)を伴うこともある。成因により、年齢とともに心臓、脳、肝臓、臓(じんぞう)などに出現する生理的萎縮や老人性萎縮、長期にわたって持続的に機能が制限された臓器・組織におこる無為萎縮のほかに、悪液質に際してみられるような栄養障害性萎縮、持続的に圧迫が加わって生ずる圧迫萎縮、レントゲン、ラジウムなどの放射線の照射によって造血臓器・性腺(せいせん)におこる萎縮、支配する神経の切断・疾患によっておこる筋肉の萎縮などがある。また、内分泌機能の異常によっても関連する臓器の萎縮がみられる。

[渡辺 

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精選版 日本国語大辞典「萎縮」の解説

い‐しゅく ヰ‥【萎縮】

〘名〙
① 物がしぼんでちぢむこと。
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二「何だか穴の明いた風船玉の様に一度に萎縮する感じが起る」
② 相手の勢いや雰囲気などにのまれて、心がなえちぢむこと。のびのびとできないこと。
※学問のすゝめ(1872‐76)〈福沢諭吉〉五「人民既に自国の政府に対して痿縮震慄の心を抱けり」
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石〉松本の話「彼の眼の色を見て萎縮(ヰシュク)した」
生体の組織あるいは臓器の容積が小さくなる病的変化のこと。細胞の構成単位の縮減をもたらす病変なので、機能の衰弱減退をおこす。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「萎縮」の解説

萎縮
いしゅく
atrophy

組織や臓器の容積が,性状に異常をきたさないで,肉眼的に減少することをいう。個々の細胞の容積が減少する場合と,細胞の数が減少する場合とがある。閉経以後の卵巣,青春期以後の胸腺のような生理的萎縮や,老年性の萎縮,あるいはギプス包帯などで運動が低下した際の無為萎縮,圧迫による圧迫萎縮,さらには神経の障害によりその支配域の筋肉に起る神経性萎縮などがあげられる。なお,単なる容積の減少だけでなく,性状の異常を伴うものは変性萎縮という。

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デジタル大辞泉「萎縮」の解説

い‐しゅく〔ヰ‐〕【萎縮】

[名](スル)
しぼんでちぢむこと。また、元気がなくなること。「寒くて手足が萎縮する」「聴衆を前にして萎縮してしまう」
正常の大きさに達した生体の器官などが、小さく変化して、機能しなくなること。
[補説]「委縮」で代用することもある。

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世界大百科事典 第2版「萎縮」の解説

いしゅく【萎縮 atrophy】

細胞の大きさが減少すること,あるいは,ある組織の構成細胞の数,あるいは細胞個々の大きさの減少によって,その組織の大きさが減少すること,さらに,器官主体をなす組織の大きさが減少することによって,器官の大きさが減少すること。対応するものによって,それぞれ細胞の萎縮,組織の萎縮,器官の萎縮という。構成細胞の数がへっても,間隙を埋めるように脂肪細胞が増殖することによって,器官の大きさは必ずしも小さくならないこともある。

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世界大百科事典内の萎縮の言及

【発疹】より

…(9)瘢痕scar 潰瘍が肉芽形成により治癒し,表面が薄い表皮でおおわれた,つるつるした光滑のある傷あと。(10)萎縮atrophy 皮膚全体が薄くなり,しわのよった状態。高齢者の皮膚にみられる。…

※「萎縮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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