デジタル大辞泉
「悪性貧血」の意味・読み・例文・類語
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あくせい‐ひんけつ【悪性貧血】
- 〘 名詞 〙 ビタミンB12欠乏による慢性の重症貧血。梅毒・妊娠・裂頭条虫の寄生、胃腸管手術後遺症のために、ビタミンB12や葉酸が欠乏して起こる続発性のものと、原因不明のビタミンB1欠乏による真性のものとがある。いずれも皮膚は黄色みを帯びて蒼白、全身の疲労感・心悸亢進(しんきこうしん)・呼吸困難を呈する。
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悪性貧血
あくせいひんけつ
pernicious anemia
ビタミン B12 の欠乏により,正常な赤血球がつくられなくなって起る貧血。ビタミン B12 が発見されるまでは,経過がきわめて悪性で治療困難であったところから,悪性貧血と名づけられたが,現在ではビタミン B12 製剤などを与えると簡単に治癒する。骨髄中に巨赤芽球という特異な若い赤血球系細胞が増加するため巨赤芽球性貧血ともいわれ,欧米に多く,日本では比較的少い。貧血症状や神経症状のほかに舌粘膜が萎縮してなめらかになるハンター舌炎という状態を呈し,また胃酸を欠く。食物中のビタミン B12 が吸収されるためには胃液中の内因子と呼ばれる物質が必要であるが,悪性貧血のときは,胃粘膜萎縮のため胃酸および内因子が分泌されなくなる。悪性貧血は胃全摘手術後に起ることもある。
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悪性貧血(血液疾患)
(1)悪性貧血
胃粘膜の内因子分泌不全によるビタミンB12の吸収障害によるものを悪性貧血とよび,自己免疫機序により惹起される.経口摂取されたビタミンB12は胃底腺粘膜内の壁細胞から分泌される内因子と結合して終末回腸粘膜の内因子受容体を介して吸収されるが,ビタミンB12が欠乏するとDNA合成障害が起こり巨赤芽球性貧血をきたす.臨床症状としては悪心,嘔吐,腹痛,下痢などの消化器症状のほか,一般的な貧血症状やHunter舌炎とよばれる舌の乳頭萎縮と発赤などを呈する.内視鏡検査で胃底腺領域優位の著明な胃粘膜萎縮を認める.[安藤貴文・後藤秀実]
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悪性貧血
アジソン悪性貧血ともいう.コバルト欠乏やビタミンB12の吸収障害(例えば胃粘膜の損傷,内因子の欠損など)で生じる貧血.ビタミンB12の注射で治癒する.
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世界大百科事典(旧版)内の悪性貧血の言及
【胃炎】より
…特殊な状態として,塩酸を分泌する細胞である壁細胞に対する自己抗体が原因で高度の萎縮性胃炎が生じることがある。ビタミンB12の吸収不良による[貧血](悪性貧血と呼ばれるが,ビタミンB12の注射により容易に治癒する)を起こす。この胃炎は日本人には少ない。…
【造血薬】より
…貧血の治療に用いられる薬剤。貧血にも種類があり,おもなものに鉄欠乏性貧血,悪性貧血(巨赤芽球性貧血),再生不良性貧血,溶血性貧血などがある。貧血の種類に応じて造血薬も選ばれる。…
【貧血】より
…つまり,貧血は症状であって,病名ではなく,種々の病気がこの中に含まれている。貧血は発生原因や赤血球の形によって,鉄欠乏性貧血,再生不良性貧血,溶血性貧血,鉄芽球性貧血,悪性貧血などに分けられ,このうち鉄欠乏性貧血が最も多くみられる。
[貧血の医学的な定義]
医学的には,貧血は,血液の単位容積中のヘモグロビン濃度が,年齢および性を考慮した正常値に達しない状態と定義される。…
※「悪性貧血」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」